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「物事を決められない」人は、『判断基準の型』をつくってみよう /脳内科医 加藤俊徳

物事がなかなか決められない…。そんな悩みを抱えている人は多いのでは? 物事を決められない原因は、どこにあるのでしょうか。1万人以上におよぶ脳画像診断を経験してきた脳内科医の加藤俊徳さんに、「決断力を高める方法」について聞きました。

【画像】これが、実現したいことを書き出した「マインドマップ」

■脳のワーキングメモリの空き容量を確保する

……仕事やプライベートのさまざまな場面で、「物事が決められない」と悩んでいる人も多いと思います。「意思決定が苦手」という人も、やはり脳が関係しているのでしょうか?

脳の働きによるものです。「片づけが苦手」という人の中にも、意思決定が苦手な人が多いと思います。つまり、「捨てるかどうかを決められない」んですね。

意思決定や決断をつかさどっているのは「思考系脳番地」です。思考系脳番地は、左脳・右脳それぞれの前頭葉の部分に位置しています。「脳全体をリードする司令塔」のような存在です。

私たち人間は、1日のうちに「今日は何を食べよう」「どんな服を着よう」といった些細なことから、ビジネス上の重大な意思決定に至るまで、多くの決断をしています。ある研究によれば、その回数は1日に最大3万5000回にものぼると言われています。

そのため、思考系脳番地は常にオーバーワークの危険にさらされているのです。「意思決定が苦手」という人は、もしかすると脳が「意思決定疲れ」の状態に陥っているのかもしれません。思考系脳番地のパワーを最大限に発揮させるためには、脳のワーキングメモリの空き容量を確保しておくことが大切なのです。

ワーキングメモリの空き容量を確保するために、おすすめの対処法があります。それは、自分なりの「判断基準のテンプレート」をつくっておくことです。

例えば「メールの返信」ひとつとっても、その都度、自分で判断しようとすると、ワーキングメモリが働いてしまいます。そこで、「1分以内に返せそうな内容のメールはその場で返信する」「メールチェックは午前と午後、それぞれ15分で終わらせる」など、テンプレートにあてはめて機械的に判断することで、メモリの空き容量を確保しておくことができるのです。

……なるほど。服を選ぶ際にも、「月曜日はこの服を着る」と決めておけば考える手間が省けますね。ところで、意志決定力を磨くために普段から気をつけるべきことはありますか?

ひとつは、意思決定に必要な情報が集まっているかどうかを確認すること。あなたが意思決定できないのは、決断力がないからではなく、材料が足りないからかもしれないからです。

足りない情報を見つけるには、「マインドマップ」を書いてみることをおすすめします。

マインドマップとは、用紙の中央に「意思決定したいテーマ」を書き、そこから連想したキーワードを線でつなげながら、放射状に展開していく思考方法です。そして、ひととおりマインドマップが書きあがったら、散歩に出かけてみましょう。場所を変えると、人の思考回路も変わります。その後マインドマップを見直すと、足りていない情報に気づきやすくなるのです。

マインドマップは、複雑で理解の難しい問題を理解する方法として効果的です。複雑と感じる部分を具体化することによって、意思決定力も向上するでしょう。

……「思考系脳番地」を鍛えるために、おすすめの方法はありますか?

「1日の目標を20文字以内でつくる」というトレーニング法をおすすめします。朝、仕事を始める前に、1日の目標を決め、20文字以内で表現してみてください。例えば、「会議で新しいプロジェクトを提案する(17文字)」という感じです。わずか20文字ですから、誰もが気軽に始めることができるでしょう。

なぜ、これが思考系脳番地のトレーニングになるのでしょうか? その日の目標を立てる際には、1日のスケジュールを俯瞰したうえで、どの予定を重視すべきか、そして、その予定をどう進めるかについて思いを巡らせると思います。この一連のシミュレーション作業こそが、思考系脳番地を活性化させるのです。

また、「20文字」という制約にも意味があります。限られた文字数で表現するためには、最適な言葉を選ぶ必要があります。この「言葉を吟味する」作業も、思考系脳番地を働かせることになるのです。ぜひ試してみてください。

■脳は「経験値を積む」ことによって育つ

……最後に、Z世代の読者に向けてメッセージをお願いします。

私には「Z世代」と呼ばれる年齢の、2人の息子がいます。また仕事でも、この世代の患者さんの脳を数多く診察しています。昭和世代の私から見ると、彼らは数多くの友人たちと軽やかにコミュニケーションを重ねています。

また、組織内の上下関係を過剰に意識することがなく、必要以上に周りの空気を読んで、「出る杭は打たれるからやめておこう」と自分の行動を制限することもありません。「おおらかさ」や、「本質的な賢さ」という意味では、大きな可能性を秘めた世代だと感じています。

ただ、気になるのは、彼らのコミュニケーションや経験が、主にスマホやパソコンといったデジタルツールに依存しているという点です。

インターネットやSNSなどのデジタル情報から獲得する刺激は、視覚・聴覚のごく一部に偏り、「五感を通じて得る刺激」は極端に少なくなっています。つまり、脳の使い方が極端にアンバランスになってしまっているのです。

脳は「経験値を積む」ことによって育ちます。多様な体験によって8つの脳番地をまんべんなく刺激し、さらに複数の脳番地を連携させることによって脳の機能は強化されていきます。

20代から40代にかけては、脳の「成長したい」というエネルギーが最も強くなる時期です。ぜひ五感を総動員するような多様な経験を通じて、あなたの「理想の脳」をデザインしてください。

加藤俊徳

かとうとしのり 1961年生まれ、新潟県出身。脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家であり、「脳番地トレーニング」の提唱者。14歳のときに「脳を鍛える方法」を求めて医学部への進学を決意。1991年、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD注意欠陥多動性障害、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。帰国後は、独自開発した加藤式MRI脳画像診断法を用いて、子どもから高齢者まで1万人以上を診断、治療を行う。『1万人以上の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)、『感情脳の鍛え方』(すばる舎)、『大人の発達障害』(白秋社)、『センスは脳で磨かれる』(クロスメディア・パブリッシング)、『成功脳とざんねん脳』(三笠書房)、『勝手に“やせ体質”に変わる! ダイエット脳』(学研プラス)など著書多数。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a93b7691cac37696fb0a2b0ba687641daaf16e52

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